歎異抄
歎異抄・第七条
一 念仏者は、無碍の一道なり。そのいわれいかんとならば、信心の行者には、天神地祇も敬伏し、魔界外道も障碍することなし。罪悪も業報を感ずることあたわず、諸善もおよぶことなきゆえに、無碍の一道なりと云々
本日の歎異抄・第七条 講義文
あるいは正直ということがあります。正直者の話は、たくさんあります。「舌切り雀」には、正直じいさんが、「お土産をあげましょう。大きいつづらがいいですか、小さいつづらがいいですか」といわれて、「私は小さいのがいいです」と、小さいのをもらったら、その中には宝物がいっぱい入っていた。欲張りばあさんは「私は大きいほうをください」といって、大きいほうをもらって開けてみたら、汚いものや化け物が出てきた。
この話は、何をいっているかというと、正直と少欲知足ということを教えています。少欲知足というのは、欲張らない、足るを知るということが大変よいことなのだよということです。「私は小さいほうがいいです」というのが少欲知足です。「舌切り雀」のおじいさんは、少欲知足で宝物をいっぱい手にいれました。欲張らないということは善いことです。それだから幸せになりました。
(諸善もおよぶことなきゆえに 201頁5行目~201頁後7行目)