正信偈唱和
曽我量深先生の言葉拝読及び僧侶法話
曽我量深先生の言葉本文
あの「機の深信」というのは、ちょっと聞くというと、何かこう、あれを読んでいると劣等感を…佛教が教えるのは劣等感を教えるのだろうと―そんなふうに思うけれども、そういうわけではない。あれはつまり、劣等感からもすくい、そうしてました、いわゆる偽りの優越感、虚偽の優越感からもすくうて下さる。それは劣等感の方が本当で、優越感の方は嘘のものだと―まあそういう風にも考える人もあるけれども、そういうわけではないと思いますよ。やはりこの、優越感がこわれると劣等感になる。そうでしょう。優越感と劣等感とを同時に捨てる―一念同時に捨てるのだ。一念同時に捨てて、そうして自分の正しいすがた、人間の正しいすがたをそれを教えてくださるわけですね。
(『中道』昭和四三年 十二月号)