正信偈唱和
曽我量深先生の言葉拝読及び僧侶法話
曽我量深先生の言葉本文
それで阿弥陀如来様は後生の一大事、一大事の後生というものを助ける。それが阿弥陀如来の本願である。阿弥陀如来には一大事の後生を助けるという本願があって、その御本願は私どもが人間に生まれぬ先からある。人間に生まれるということは、御本願によって人間に生まれて来た。そういうことは私どもは知らぬ。知らんが御本願というものがあってこの世に生を受けた。だから私どもは人間に生まれると共に、御本願というものが私どもの心に深い所に、つまり煩悩の中に、心の煩悩妄念の中に、深い所にはたらいている。われわれの煩悩は、ただ煩悩のようだけれども、その煩悩と共に、その煩悩と一つになって御本願がはたらいているのである。それが時節到来して、いわゆる宿業開発として前知識に遇う。そして他力本願の教えというものを聴聞する。聴聞するのはどうしてするか。本願がはたらいているから―。本願がはたらいている。それを機という。本願がはたらいていてそれと照らし合いする。内と外と相照らすのであります。
(『真人』第八二号 「法然と親鸞」)