正信偈唱和
歎異抄
歎異抄講義(上)・本文
また、こういう話もあります。盗賊の耳四郎の話です。火付け、泥棒、かっぱらい、強姦、殺人、ありとあらゆる悪事をやっていて耳四郎が、良い隠れ場所を見つけました。吉水の法然上人の住まいの縁の下に隠れていたのです。昼間は寝ていて、夜中に出かけて、殺し、盗み、火付けをやっていた。検非遣使が追うのですが、どういうわけか法然上人の草庵の近くで、見失う。しかし、まさか法然上人の草庵の縁の下に盗賊が隠れているとは思わないから、検非遺使も吉水の草庵までは入らない。
その耳四郎が、縁の下にいて、法然上人のお話を聞くわけです。しかし、初めのうちは、「自分などが助かるわけがない」と思っている。今までどれだけ人を殺して悪いことをやってきたか、この自分が助かるわけがない。いくら坊さんがありがたい話をしても、助かるわけがないと、腹を決めていたのです。
しかし、法然上人のご説法が、縁の下にいても聞こえてくる。どれほど罪を犯していても、「ただ念仏して弥陀にたすけられまいらすべし」、これが阿弥陀仏の本意、真の仏教です。罪を犯したその辛さ、悲しさ、それは阿弥陀仏が一番ご存知だ。その阿弥陀仏が、ただ念仏をもってあなたを救うと誓われたのだという話を繰り返し巻き返し何度も聞いて、とうとう、それは「俺のことか」と感じて大声で泣き始めたというのです。縁の下から泣き声が聞こえてきた。どれどれ床板を開けたら、男が出て来た。
「法然上人、お願いです。私は悪事を数限りなく犯してきました。この耳四郎が助かりますか」と。それで耳四郎もお弟子になったというのです。
(悪人を救うと誓われた本願 199頁7行目~200頁3行目)