正信偈唱和
歎異抄
歎異抄・第三条
一 善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや。しかるを、世のひとつねにいわく、悪人なお往生す、いかにいわんや善人をや。この条、一旦そのいわれあるににたれども、本願他力の意趣にそむけり。そのゆえは、自力作善のひとは、ひとえに他力をたのむこころかけたるあいだ、弥陀の本願にあらず。しかれども、自力のこころをひるがえして、他力をたのみたてまつれば、真実報土の往生をとぐるなり。煩悩具足のわれらは、いずれの行にても、生死をはなるることあるべからざるをあわれみたまいて、願をおこしたまう本意、悪人成仏のためなれば、他力をたのみたてまつる悪人、もっとも往生の正因なり。よって善人だにこそ往生すれ、まして悪人はと、おおせそうらいき。
本日の歎異抄・第三条 講義文
ロシアの文豪トルストイに聞いた人がいるそうです。
「先生、この世で一番簡単なことは何ですか」
「それは人に忠告をすることだ」
トルストイは、このように答えたそうです。みなさんは、この意味がおわかりになるでしょう。みなさんの身の周りにも、こういう人がいるのではないですか。「君ねおよそ人間というのは…」「君の態度はよくないねえ」などいって、組織や人間関係の中で、幅をきかせて威張る。その中に、この自力作善がはたりているわけです。ですから、そこでの人間関係は大変冷たい、厳しい、怖い関係になってしまいます。相手が失敗すれば自分が得するという考え方があるからでしょう。
(善悪平等の救い 78頁10行目~79頁2行目)