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Home トップページ  >  今月の法語  >  浄土真宗に帰すれども 真実の心はありがたし 虚仮不実の我が身にて 清浄の心もさらになし親鸞

2007年12月
浄土真宗に帰すれども 真実の心はありがたし 虚仮不実の我が身にて 清浄の心もさらになし

親鸞

 これは親鸞が八十五歳の時に詠んだ和讃の一つです。親鸞は浄土真宗の開祖として御同行から親鸞「聖人」として親しまれています。しかし親鸞自身は、「愚禿」と名乗っています。愚は愚か、禿とは偽坊主という意味があるようです。また親鸞は主著『教行信証』にて、
 まことに知んぬ、悲しきかな愚禿鸞、愛欲の広海に沈没し、名利の太山に迷惑して、定聚の数に入ることを喜ばず、真証の証に近づくことを快しまざることを、恥づべし傷むべし
と告白しています。私はこの言葉を聞くと親鸞は正直だなあと思います。そして同時に私は誤魔化していないかと問われてきます。私はこの言葉は親鸞が力んだり謙虚になって述べた言葉ではないと思います。もっと安心して、仏さまの言葉を聞いて感じたありのままの自分を、誤魔化さずに述べたのだと思います。仏さまに返事をするような気持ちで述べたのではないかなあと思います。きっと親鸞には、仏さまは私のことを誰よりも知っていて、その上で応援して信じてくれている、という自信があったのだと思います。今回は親鸞の自信について考えてみたいと思います。

「自信」と聞いて皆さまはどのように感じますか?「自信」というと「自」分の為してきた努力を「信」じ、自信を持てと励まされたりします。時には信ずることが、自己暗示のようにさえ思われてはいないでしょうか。宗教を信じているというと、思い込んでいるのではないか、、、と心配されることがあります。勿論、カルトと呼ばれる擬似宗教では、「頭で考えるな、ただ信じろ」と、道理でないことを無理やり思い込ませたりする面もあり、現代では信じることの中身が問われています。しかし仏教では信ずることは、思い込むことではなありません。道理にかなったことがらを聞いて「なるほどなあ」や「うーん」と思わず身がうなずくことを指しています。

 曽我量深という真宗の僧は、親鸞の自信は、思い込むことではなく、ありのままの我が身を信ずることだと述べました。親鸞は『愚禿鈔』と名付けた書物を記し、「自身を深信す」と、仏さまによって知らされた「自」分を深く「信」ずることが大切だと述べています。自分で自分を決めつけて思い込むのでもなく、他者より優れているから持つのでもなく、仏さまによって言い当てられ、証明された自分をうなずくことが、本当の自信なのだと思います。ですから信じなければ駄目だということはなく、こちらがうなずくまで仏さまは待っていてくださいます。親鸞は歎異抄で「しかるに仏かねて知ろしめして、煩悩具足の凡夫と仰せられたることなれば、他力の悲願はかくのごときのわれらが為なりけりと知られていよいよ頼もしくおぼゆるなり」と述べています。これは「仏さまが誰よりも深く私のことを知り、信じてくれている」という親鸞の頷きの言葉です。「どうせ私は凡夫だ」という投げやりな言葉でもなく、「自分は今は凡夫だけど、凡夫じゃないようになりたい」という誤魔化しでもなく、ただ「煩悩具足の凡夫よ」という仏さまの呼びかけに安心して返事をするだけです。気がついてみたら、昔から仏さまは私の為に呼びかけていたんだなあという受けとめが、親鸞に仏さまを頼もしく感じさせたのだと思います。

 煩悩を持っていることがバレないように隠す必要もありません。「煩悩を持って生きる凡夫」のままに仏さまは私を大切にしています。仏さまが私を凡夫と呼びかけられることも私を馬鹿にしているのではなく、私の心の辛さ悲しさを誰よりも理解しているからこそ、ありのままを尊重してくださるのだと思います。誰も理解してくれなくても、仏さまは分かってくださるのだと思います。

 浄土を真の宗として生きるぞ、と心に決めても、自分の決意や心掛けを曲げずに生ききることは難中の難です。私達に確かなことは、この身のありのままの事実を誤魔化さずに受け取るということだと思います。そしてここに、地に足の着いた確かな歩みが始まるのだと思います。
證大寺 住職 井上城治

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