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Home トップページ  >  今月の法語  >  世界全体が幸福にならないうちは 個人の幸福はあり得ない 宮澤 賢治

2006年03月
世界全体が幸福にならないうちは

個人の幸福はあり得ない

宮澤 賢治

 この言葉は、宮澤賢治の「農民芸術概論網要」のなかにでてくる言葉で、人と人との関係に生きる私が他の人と共に生きていくことはどういうことなのか、教えて頂いている言葉です。浄土三部経のひとつである『仏説阿弥陀経』の中に、『供(く)命(みょう)の鳥(とり)』という言葉が出てきます。その共命の鳥について、いいつたえをB子といいました。A子は頭もよく、性格もよかったのでみんなに好かれていました。しかし、B子は頭も悪く、性格も嫉妬深いのでみんなに嫌われていました。そのため、いつもB子はA子を妬(ねた)んでいました。そして、そんなある日、とうとうB子はA子に、毒をのませて殺してしまいました。しかし、体がひとつのため、やがてB子自身も死んでしまいました。人と人との関係の中で生きているのがこの私です。ひとつの関係をみんなで分けあって生きているのが、私達ではないでしょうか。
「あいつより私の方が大変なんだぞ」、「なぜ私だけがこんな思いをしなければならないのか」。私達は他の人と、自分とを比べて、自分のほうが勝れていれば善と、劣っていれば悪とする生き方にふりまわされているのではないでしょうか。そのことは、本当の命の世界(共にの世界)を、見失っているのではないでしょうか。
 A子とB子は、物理的にみれば平等ではありません。しかし、仏さまはみんな平等なんだよといわれます。この私はそのことに素直にうなずくことができません。A子とB子がなぜ平等といえるのか。どこでその平等が成り樹(た)つのか。その根拠(場)のことを、「浄土」という言葉で、あらわしてくださっているのではないでしょうか。
 最近、「人の心はお金で買える」という言葉が話題になりました。これは、この私の欲望の拡大こそが、私の幸福につながることであるという意味かと思います。
しかし、欲望を拡大していくことは、他の人を傷つけるだけでなく、この私自身が本当に生きるということを成り樹(た)たなくさせていることを、賢治のこの言葉が教えてくれているのではないでしょうか。
 私は、森林公園昭和浄苑に常駐している僧侶で千部(ちべ)と申します。昭和浄苑にお参りの際には、お気軽に声をかけてください。

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