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Home トップページ  >  今月の法語  >  「ありのままの自分になるの」映画『アナと雪の女王』主題歌より

2014年07月
「ありのままの自分になるの」
映画『アナと雪の女王』主題歌より

「ありのままの自分」とは、どのような自分だろうか。どうすればそうなれるのか。これを明快に答えられる人は少ないのではないか。

 映画「アナと雪の女王」では、次のような場面でこの主題歌は使われている。「ありのままの自分になる」ことを願いながらも、周囲から生まれついた性質を否定された主人公は周囲に心を閉ざし、氷と雪でこしらえた自分だけの城に閉じこもり、周囲にモンスターを配して誰も近づけようとしない。城から出ようと呼びかける実の妹にまで氷の矢を放って攻撃をしてしまう。しかしそれは決して「ありのままの自分」ではなく、「ありのままの自分はきっと受けとめてもらえない」という疑いの城に閉じこもり自我を守ろうとしている危うい状態でしかない。  
 仏教では「ありのままの自分」に目覚めた人をブッダと呼ぶ。これを親鸞は『愚禿抄』に「深信自身」と記している。これはありのままの自分自身を深く信じる、という程の意味だ。親鸞は自分になるのではなく、自分を信ずると述べている。それはどういうことだろうか。
 7世紀に唐の長安で活躍をした善導大師は、二河の喩(たとえ)として、以下の話を伝えている。「西に向かって旅をする人が、突如として二つの河に行く手を挟まれた。北から流れる河は濁流が流れ、南から流れる河には、水の代わりに火炎が流れており、お互いの流れがぶつかり合う中に微かに白い路が見える。河の幅はわずか百歩ほどではあるが、とてもこの路は渡れないと引き返そうとしても賊が大軍勢を率いて私を殺そうと迫ってくる。川沿いに逃げようとすれば、川沿いに悪獣が私を喰い殺そうと迫ってくる。旅人はとうとう死を決意して、死ぬならば前に向かって白い路を渡ろうと思い立つと、東の岸と西の岸から旅人を励ます声が聞こえてくる」という喩である。

そして西の岸から聞こえてきた声が、「汝一心正念直来」(汝一心正念にして直ちに来たれ)というものだ。これは「何も準備はいらない。ありのままのあなたで良いからすぐにこちらにおいで」という呼びかけである。これを善導大師は阿弥陀仏から私たちへの呼びかけであると受けとめた。一切の条件や準備は不要であり、阿弥陀仏の呼びかけに、「はい!」という返事をすればいいだけである。それが「南無阿弥陀仏」という言葉の深い意味でもある。しかしこの呼びかけに対して我々は素直に従い、すぐに返事ができないのである。
「ありのままの自分」で良いと言われても、私たちは「ありのままの自分」では足りないと思い、あるときは「こんな自分ではだめだ」と落ち込んだり、「ありのままの自分の邪魔をするな」と心を閉ざしてしまい、「ありのままの自分」に安住する方法を知らないのではないだろうか。それは他者との比較から抜けられないからである。
 仏教で教えている「ありのままの自分」に出会う方法は、「ありのままの自分」で良いと教えてくれる仏さまの言葉を信じることだ。親鸞は『歎異抄』「仏はずっと前から、煩悩に縛られて生きるあなたよ、と私を呼びかけてくれているので、仏の悲願は私のためであったと気付かされ、この私こそが仏の目当てであったかといよいよ頼もしく思います」(歎異抄第9条取意)と述べている。私はここに「ありのままの自分」に安住する心の居場所があるのだと思う。そのように仏から教えられて気付くということが、信じる内容になっているのである。

 言葉を換えれば、思い込むのではなく、「ありのままの自分」になるとは、ありのままの自分で良いのだと信じること、すなわち気付くことではないだろうか。

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