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2023年11月
隣のレジは、早い。

 今月の法語は、以前都内の浄土真宗本願寺派(西本願寺)のお寺の掲示板にご住職が法語に選ばれて、紹介された言葉です。この言葉はその後、多くの人から注目されて、令和元年の※「お寺の掲示板大賞」で入賞されました。

 
 さて、この言葉を始めて聞かれた方は、「この言葉は法語なの?」と思われた人がいたのではないかと思います。
実はこの言葉の裏には、自己中心的な在り方を捉えているように感じます。この言葉は元々誰の言葉か分かりませんが、沢山の人から共感されたと思います。

 そこで皆様は、お店の会計の時に、「隣のレジは早い」と感じたことはありますか。この「早い」というのは決してレジ係の人が、バーコードをスキャンするスピードの早さではありません。それではどういう意味でしょうか。

 例えば私はお店のレジが数か所ある時は、待つ人が少ない列のレジを選びます。

また、レジが混んでいる時は、自分の前の人の買い物かごの中身を見て、中身が少ない方に並びます。

 そこでこの法語の意味ですが、例えば並んだ列の前の人が持ってこられた商品に貼ってあるバーコードが読み取れず、しかも値段のシールが剝がれていて、手打ちも出来ない状態だったとします。するとレジ係の人は一旦レジを止めて、他の従業員に売り場に値段の確認をしてもらうでしょう。

その間はそのレジは休止しますから、別の列に並んでいた人達が、サッサと会計を済ませてお店を出るでしょう。すると、どの様な気持ちになるでしょうか。きっと「隣のレジにすればよかった」と思うでしょう。この心境がこの言葉の意味だと思います。

 そして「何故、このタイミングで、自分の前でレジが停止するのか」と腹が立つ人もいるかと思います。仮にレジが停止した時に他の列に移動しようとしたら、更にレジ待ちの人が多ければ猶更です。 

 しかし、自分と関係のない列で起これば、気にはならないのではないかと思います。それは何故でしょうか。

 この様に色々な因縁の中で、只今この現前に、多様な瞬間が起こっているのです。常に現前の出来事は、「因縁生起の法」によって起こっていますので、私の都合の良いようにはならないのです。

 ですから値段等のシールの欠損に他の店員が対処していたら、レジが停止すことは無かったかもしれません。
いずれにしても商品がレジに運ばれるまで、人との関係性や、外部の縁が無く、商品がお客様の手に渡ることは無いのです。
 この法語は、自己中心的な私の根本原因は、「無明(むみょう)」であることを教えています。「無明」とは、「因縁生起の法」に暗い私のことです。全ての物事は関係性によっています。また、物事は先ず原因が有って、そこに縁が作用して、結果が起こり、結果が次の原因を生むのです。ですから単独で物事が起こることは無いことを知らないことが「無明」なのです。

 次に仏教は「三毒(さんどく)の煩悩」を問題にします。先ず欲望の「貪欲(とんよく)」、怒りの「瞋恚(しんに)」、無知の「愚痴(ぐち)」の三つの煩悩が成就している私を問題にしているのです。

 その三毒の「瞋恚」をここで言いますと、「私は、私の前でレジが停止したこの瞬間が気に入らない」ということです。

 レジの休止は「因縁生起の法」によって起こり、腹を立てた人も、「因縁生起の法」の身なのです。それを釈尊は「一切法は因縁生なり」と説き、この世は全てこの法によって運ばれていることを教えています。そしてこのことを知るご縁となる言葉が、この度の法語の言葉ではないかと思います。

                         
                        船橋昭和浄苑支坊 加藤 順節

※「耀け!お寺の掲示板大賞2019」
主催:公益財団法人仏教伝道協会

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