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Home トップページ  >  今月の法語  >  自らを燈明とし 他の者をよりどころとせず 法を燈明とし 他の者をよりどころとせず 釈尊

2006年06月
自らを燈明とし 他の者をよりどころとせず

法を燈明とし 他の者をよりどころとせず

釈尊

 毎日、テレピや新間を見ても、人が殺されたという報道を見ないときはありません。親が子を子が親を殺し、子供、大人同士、国同士も殺し合っていく。世界中の命が命を殺していきます。殺すというのはただ人の命を奪うということだけじゃない。自分の立場を守る為に、他人の立場を奪う。 自分の価値観で、他の価値観を抹殺する。その人の存在を無くす。人格を否定していく。それも紛れもなく殺人でしょう。そういった中で、今、何をどうすればよいのか、様々な人たちが話し合っています。何が悪いのだろうかと。法律か教育か、社会が家庭か、先生が親か、夫が妻か、兄弟が友人か、自分か他人か。それぞれが大きな問題で、これらひとつひとつを考えていっても解決するのは容易なことではない。むしろ私が実感しているのは、この現代の状況を生んだ原因は、私たちの世界から仏さまがいなくなったということじゃないかということです。家から仏さまがいなくなった。学校から世間から国から仏さまがいなくなった。そして、私たちの心が如来の心を忘れてしまった。そこに大きな原因があると思います。
 昔はよく、じいちゃんばあちゃんが仏さんに手を合わせていたでしょ。人さまから何か頂いたら必ず仏さんにまずお供えしてました。それからあらためて頂く。ご飯を食べるときでも、仏さんにお参りせんと食べさせて貰えなかったり。物を頂くのも、ご飯が食べられるのも、自分が偉くて立派だからじゃない、みんな仏さんのお陰さんやと。生活そのものに、いつも仏さまが、お蔭さんとして寄添ってくださってた。仏さまの信心が合掌の形となって、念仏申す姿そのままが仏さまだったんでしょう。そんなジジババが家からいなくなった。 手が合わさるお父さんお母さんがいなくなった。自分の家はまだ仏さんがいないからと言って、お内仏(ないぶつ)そのものが安置されていない。仏さんがいないとはどういうことだろう。死んだ人がいないという意味で言われているのでしょうが、 自分に縁のある人で死んでない人なんかいないでしょう。仏として生まれて往(い)った方々の命がお蔭さんとして、今の私を生きてるんだから、仏さんがいなくなったら自分もいなくなってしまいます。仏さんがいないなんて人は一人もいないんです。なのに、仏さまを家から閉め出してしまった。だったら私たちは何を頼りに生きていけばいいのでしょうか。蓮如上人は、御文(おふみ)に、「まことに、死せんときは、かねてたのみおきつる妻子も財宝も、わが身にはひとつもあいそうにとあるべからず。されば、死出(しで)の山路(やまじ)のすえ、三途(さんず)の大河(たいが)をば、ただひとりこそゆきなんずれ。」と言われます。頼みになるものは何も無いぞと。
 今号の言葉は、釈尊入滅の時に臨んで動揺する弟子の阿難(あなん)に向かって説かれた釈尊最後の教えともいわれる『自燈(じとう)明(みょう)・法(ほう)燈(とう)明(みょう)』です。お釈迦さまに頼り、すがろうとする阿難にきっぱりと、それは違うと言われたのです。私は無常である。この無常の私を頼りにしてはならないと。そのことに自らが目覚めること、自覚すること。その自覚を頼りとする。頼りになるものは何も無いということを頼りとする。それを自覚せしめるのがすなわち仏法である。仏とは目覚めたる者の意で、法とはダルマ、正しい教えと言うことです。 その法をよりどころとして、たゆまずに努力していくことを説かれました。親鸞聖人は御和讃に「かなしきかなや道俗の 良(りょう)時(じ)吉日(きちにち)えらばしめ 天神(てんしん)地祇(ちぎ)をあがめつつ ト(ぼく)占(せん)祭祀(さいし)つとめとす」といわれ、私たちが仏の正法に背き、日時に善悪をつけ、占いで吉凶を選び、それを頼りにして自らの生き方を決定している様を悲しまれています。教えを聞いても、それは他人を打ち負かす武器としか使わない。師をあてにして、法にではなく、人に服従する。そのような私たちの無明の闇を破ってくださるのがこの『自燈明・法燈明』の教えではないでしょうか。これがすなわち南無阿弥陀仏、そのものであり、救わずにはおれぬという如来の叫びだと感じます。
 今一度、この日本の国から、一人ひとりが如来の教えを燈明とし、手を合わせ念仏、申すことから始めてみてはどうだろうか。
大 空

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