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Home トップページ  >  今月の法語  >  「僕の正義がきっと 彼を傷つけていたんだ」 『Dragon Night』より

2015年08月
「僕の正義がきっと 彼を傷つけていたんだ」 『Dragon Night』より

今月のことばは昨年十月にリリースされ、大ヒットした「SEKAI NO OWARI」の『Dragon Night(以下、ドラゴンナイト)』 の歌詞からです。(※本文中「太字」は歌詞をそのまま転用しています。)

この曲は昨年の紅白でも披露され、あちこちで流されていたので皆様も耳にしたことがあるのではないでしょうか。ピエロの衣装やトランシーバーをマイク代わりにするなど、独特の世界観を持つ四人組のバンドで、軽快な楽曲に強いメッセージを歌詞に載せて発信しています。その中でこの『Dragon Night』という曲は、人間の根本的問題ともいうべき自我について、正義という言葉でもって表現します。

今ニュースを賑わしているのは、子供たちの集団暴行や惨殺事件、首相が推し進める安全保障関係、世界に目を向ければ、同じ宗教信者同士(派は違う)が三つ巴四つ巴で撃ち合い、白人と黒人と…、人間の争いに関することを目にしない日ない。ただ、これらのことは現代の社会問題なのかといえばそれだけではなく、人間の歴史が始まって以来、我々人間が常に抱えてきた不変の問題だろうと思うのです。もっと身近に考えても、学校、家庭、職場と私たちをとりまく環境はさまざまで、決して安心できないある意味戦場ではなかろうか。こんなことを思うのは自分だけかと思っていたら、多かれ少なかれ大概皆そう思っていたりするのでおもしろい。その中で道徳や秩序といったものがどれほど頼りになるものか。絶対的に身をゆだねていられないのが私たちの正体だ。

曲の中で、この世から争いがなくなる夜(ドラゴンナイト)は、「今宵は百万年に一度」であるそうだ。地球で人間の時間が始まってから百万年、「終わりの来ないような戦いも 今宵は休戦して祝杯をあげる ~ 今宵、僕たちの戦いは「終わる」んだ」実は皆このドラゴンナイトを待ちわびている。

ではなぜ、人は争いをやめないのか。「人はそれぞれ「正義」があって 争い合うのは仕方ないのかも知れない

正義とは何か?

正義とは完全無欠の善、正義でないものは悪、というとらえ方に間違っているという人は少ないであろう。ところが辞書で正義をひけば【人間の社会的関係において実現されるべき究極的な価値(ブリタニカ)】とある。究極的な価値は一つであるから、歌詞のように正義が人それぞれであったらあべこべだ。この究極的な価値こそドラゴンナイトであろう。

私たちの親先祖はそれぞれの正義を超えた、この究極的な価値(本当の道理)を請い求め、見出すことを目指してきた。仏教ではこれを浄土といい、またこの歌詞にいうそれぞれの正義を自我という。自我は人間が自利利他円満、皆が満たされる浄土に共に立てない一番の原因と教えます。

だけど僕の「正義」がきっと 彼を傷つけていたんだね

普段私たちはこの自我(人それぞれの正義)を最上と頼りにし行動する。浄土は自分の力では開けない。浄土を求めていたのに普段自我に支配されてしまう。このことを私たちは教えてもらうしかありません。本当の道理から、あなたが、誰々が、ではなく自分が教えてもらうしかないのです。それには聞くしかありません。

何かわからないけれど、そんな夜があったらいいな、であればそれはただのファンタジー。この曲のドラゴンナイトはファンタジーを用いた、一度たりともそのような夜は来たことがないよ、という我々人間の自我に対する強烈なアンチテーゼ。本当に「友達のように歌い ~ 踊るんだ」には共に自分が聞き続け、おしえてもらうしかないのです。

船橋昭和浄苑 溝邊 貴彦

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