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Home トップページ  >  今月の法語  >  やり直しのきかぬ人生であるが、見直すことはできる金子大栄

2016年01月
やり直しのきかぬ人生であるが、見直すことはできる

金子大栄

證大寺 昭和浄苑では、仕事や子育てのお役目が一段落ついたら、もう一度学生になって仏教に人生を学びませんかと呼びかけています。これは人生を見直すということです。せっかく沢山の経験を積んできても、「こんなはずじゃなかった」、「こんなもんだ」とため息が出てしまうのでは経験した甲斐がありません。ため息や愚痴で人生を終えていくのではなく、この人生の甲斐を確かめていきたいのです。

 

次の彼岸法要で法話をしていただく宮戸道雄先生は、「わし、仏さんの前に座ると、なんか妄念妄想がわいてきますねん」という門徒さまからの問いに、こう答えています。

 

「わしもそうや。お常飯(ご先祖の祥月命日のお参り)に行っても、仏壇は立派やけど、ほこりだらけやな、ここの嫁は気づかんのやなと、そんなことばっかり考えているね。お前と一緒や。一緒やけど違うとこが一つだけある。あんたは妄念妄想をやめようと思っとるやろ。わしは妄念妄想をやめようとは思ってない。なんでか。仏さんの前に座ったら出るんやろ。道で人の悪口言っているとき、妄念妄想がでるか?わかへんやろ。仏さまの前に座った功徳は、美しい心が出てくるのではない。仏さまの前に座らせていただくと、仏さまから私の本当の姿、妄念妄想しかない自分だということを、仏さまによって照らし出されるの。これが、仏前に座った功徳なの」

 

平野修という僧侶は「虚偽の中で虚偽を重ね、あなたは何者になろうとするのか」と厳しい問いかけをしています。これは虚偽を捨てて頑張りますということではなく、ありのままの自分を認めなさいという仏さまからの呼び掛けでもあります。

私たちは仕事や子育ては卒業しても、生涯現役の命を生きています。愚痴やため息で終わるのではなく、人生の完成に向けてこれから新たな歩みを始めるのです。

證大寺 昭和浄苑で毎日開催されている『仏教生活講座』で仏教に学び、イキイキとした人生を始めませんか。

 

證大寺 住職 井上城治

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