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2024年04月
俺が行く。

「俺が行く。」
ヒルマ・ゲント隊長 「ウルトラマンブレーザー」

皆さん今日は。四月になりました。新しい季節です。私の次男はこの四月で小学校に入学いたします。
突然ですが、皆さんの心の中にヒーローは居ますか。自分の人生において、困難に直面した時に、自分を奮い立たせてくれる存在が、ありますか。
私の次男は、幼稚園という世界で困難に当たった時に、自らの信じるヒーローの言葉を口にします。たとえばジャングルジムを登り、途中で怖くなった時に「僕はウルトラマンだ」といって自らの勇気を奮い立たせます。
今回の法語は、このような次男の大好きなウルトラマンブレーザーの主人公であるヒルマ・ゲント隊長の言葉です。
ヒルマ・ゲント隊長は、怪獣被害に直面する日本で、これに最前線で対応していく特殊部隊の隊長です。ウルトラマンの作品で「隊長」がウルトラマンに変身することは珍しい事です。
この隊長は部下からの信望が厚いのです。その理由としては、任務中に困難な状況に直面した時に「俺が行く」といって、自らが率先して動くのです。
その判断には、賛否があるかもしれませんが、ヒーローとして格好よく映るのです。それは、部下を危険な目に合わせるわけにはいかないという、信念と、「自分なら出来る」という自信と、何より、目の前の人を守りたいという強い思いを感じるのです。
さて、このように「目の前の人を救いたい」という思いに突き動かされて行動してくださるものを、私は他にも知っています。それは、阿弥陀如来です。
浄土真宗のご本尊は、阿弥陀如来の立像です。この立像は『仏説観無量寿経』が由来と成っています。そこの部分を見てみましょう。

「あきらかに聴き、あきらかに聴け。善くこれを思念せよ。仏、当に汝がために、苦悩を除く法を分別(ふんべつ)し解(げ)説(せつ)したまうべし。汝等、憶持(おくじ)して、広く大衆のために分別し解説すべし。」この語を説きたまう時、無量寿仏、空中に住立(じゅうりつ)したまう。    『仏説観無量寿経』「真宗聖典」百頁

この御経の題名にある「観」とは、お釈迦様が苦悩する私達に、阿弥陀如来の姿を示して下さるものです。阿弥陀如来とは、お釈迦様が「あなたの苦悩を除くための法を説こう」と宣言した瞬間に、その役目を「私がしましょう」と空中に立ち上がった如来なのです。これは当に、私達の苦悩を救おうと立ち上がって下さった姿です。ご本尊の立像とは、この御経にある「空中に住立」しているところから由来しているのです。
では、何をもって阿弥陀如来は私達の苦悩を取り除くとして下さるのでしょうか。それは「大慈悲」の御心です。

仏(ぶつ)身(しん)を観(かん)ずるをもってのゆえに、また仏心を見る。仏心というは大慈悲これなり。無(む)縁(えん)の慈(じ)をもってもろもろの衆(しゅ)生(じょう)を摂(せっ)す。
『仏説観無量寿経』「真宗聖典」百六頁

この仏身は、阿弥陀如来の大慈悲の御心を表していると説かれます。大慈悲とは、無縁のものさえも、見捨てないという心です。これは人間の思い計らいの超えた「誰も見捨てない」という如来の姿です。また私の目には、その覚悟さえ映るのです。
話は、自らの内に宿すヒーローに戻ります。ヒーローの声である「俺が行く」は、私には阿弥陀如来が私の為に立ち上がってくれた時の声に思えるのです。この阿弥陀如来の「私を見捨てない」という御心と姿に私が出遇うことで、私はこの苦悩の世界を歩むことが出来る力を頂くのです。この生きる力をこれからも頂くために、私は阿弥陀如来の教えを聞法をしていきたいのです。

森林公園昭和浄苑支坊 目﨑明弘

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